ここまで緊迫した実戦は初めてで、僕はギラヒムとか言う奴と戦ってボロボロになったため、
ゼルダを探さなくてはいけないという焦る気持ちを押さえつけて、ひとまず己の部屋である寮へと戻ることにした。
なんというか、ちゃんと行き来できて本当に良かったと思う。できないようなら、安眠出来る場所を確保するところから始めなくてはいけなかったから。
疲れきった体を休めようと思いはした、が、それよりも先に心を癒やそう。そう思って僕はある場所へと足を向けた。
住宅街にある一件の家。窓からこそりと様子をうかがう―いる。それだけで点滅していたハートが回復する。
こんこんと律儀に扉をノックする。すると、はーい、と聞きたくてたまらなかった声が返ってきた。
間も無く、ガチャリと扉が開く。出てきた人は、僕を見てひどく驚いているようだった。
息を飲んで、くりくりとした目を大きくして、ほんの数秒そうした後、眉根をよせた。えっ、僕が声を漏らすと。
「何してるの?…ゼルダちゃんを助けに行ったんじゃなかったの?」
「それは、…たしかにまだ助けられなかったんだけど。ぶっ倒れるぞって言われちゃうくらい戦い詰めでへとへとになったから、休みに一度戻ってきたんだ」
「………」
僕の言葉に、彼女は首を傾げる。いぶかしそうに僕を見ていた。
「…ちょっとまって、どういうこと?」
「え、どういうって、何が?」
「だって…そんな、」
彼女は何かに気付いたようにして口を閉じた。そうして、はぁあと深い溜息をついて、
その場にへたり込む、突然の変化に僕はひどく驚いて彼女の肩を優しく撫でた。
「…わたし、」
「うん」
「もう、リンク…帰ってこないのかと、思って」
「…うん?」
「あの分厚い雲の下に行くなんて、そんな…空想だと思ったのよ。誰かに騙されてて、リンクとゼルダちゃんが、雲の下で、その…死んだんじゃないかって、怖くて、私!」
じわ、と目尻に水滴をあふれさせて、彼女は叫ぶ。僕の緑の騎士服にシワを寄せて、こらえるように唇を噛んだ後僕の胸に顔を押し付ける。
「うん、ごめん、心配させて。僕も、こんな気軽に戻れるとは思ってなかったから」
「っというか、私には直接話もせずにっ」
「ごめんね」
強く彼女を抱きしめていると、ひゅうひゅうとどこからか口笛が届く。
「あ、」
そういえばここは、玄関の外だった。