「こんにちわ。また、来てくれたのね、リンク」

マスターソードを引き抜いたあの地へやってくると、体が透けているあのお姉さんが笑っていた。笑っているけれど、やっぱりとっても悲しい笑顔だ。
僕の顔を見て憂いげに笑んで、瞼をおろして少しするとまた笑う。僕はお姉さんを笑わせたくて色んな話をする。笑ってくれるけれど、心からの笑顔じゃないんだ。

「もう行かなくちゃいけないのに、ごめんね引き止めて」
「う、ううん、大丈夫だよ、…多分」
「…ありがとう、リンクは優しいね」

そんなことないよ、と言ってもお姉さんは笑うだけだ。

「…ごめんね、ごめんねリンク…。あなたにまた、辛い運命ばかり背負わせるの」
「僕こんなことするの初めてだよ?」
「そう…そうね、そう…だね…。ちがうの、あなたが…」

首を傾げると、また笑う。

「悲しいなら、無理して笑わないで、お姉さん」
「………うん、うん…」

両手で顔を隠して、ほろほろと涙を流す。透けているから触ることも出来なくて、かっこ良く―それこそお姉さんが僕と重ねて見ている人のように―抱きしめて慰めることも出来ない。それくらい僕はまだ小さくて弱くて。

「…僕、きっとお姉さんの大好きな人みたいに強くなって、世界を守ってみせるから!」

今はまだ、お姉さんを抱きしめることなんて出来ないけれど。
お姉さんごと世界を守れるくらい強くなれれば、きっとお姉さんは安心して眠ることができると思うんだ。





―けれどお姉さんは、また泣いてしまった。ずっと僕の名前(同姓同名で別人なんだけど)を呟いて、しとしとと泣いている。
お姉さんはずっとずっと昔に大切な人と離れ離れになってしまって、一人で旅をしていたらしい。でも結局その人は見つからなくて、マスターソードのそばで眠りについたのだという。
ずっとずうっと待ってもその人は現れてくれなくて、やがてこの地ハイラルはガノンドロフ封印のために沈んだ。
大切なその人に会えなかったことが心残りだったからなのかお姉さんは幽霊となってマスターソードと共に過ごしていた。長すぎる時がお姉さんの心をさらに干からびさせてしまったのだろう。
お姉さんを再び笑わせるには、きっと僕が世界を救うしかないのだと思う。僕が世界を救うことが、お姉さんを安心して眠らせることになるのだ。
 …―きっと。


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(時オカ主が七年後の方で取り残され、リンクを探して旅に出るも結局見つからなくて亡霊と化した後、風の勇者と出会った話)
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