レモン・マーメイド
宝は宝箱にしまおう
魔術師が乗った海賊船との戦闘が続き、連続して先頭に立っていたが寝込んでいる。…と言っても、普通に意識はあったし危篤ということではなく、疲れたから寝ている、が正しい。
そんなの奮闘もあり無事敵船を沈め、乗っていたあちらの船員や宝の分配を一通りこなした後、バーソロミューはが眠る船長室へと早々に赴いた。
多少顔が青白いが、安定した寝息をこぼしている。するりと前髪を撫で、目元に口付けると、手袋を外して少女の小さな手のひらを握った。どういう理屈かは知らないが、魔力量とやらが多くない彼女にこうして魔力を与えるのは、彼女を雇い入れたバーソロミューの仕事であった。
眠っているのをいいことに、白い指先に舌を這わせる。爪も手のひらも己の手指の何回りも小さくて、少し力を込めれば粉々に砕け散ってしまいそうだ。
彼女の白い肌には、紅い華がよく似合いそうだ。そう思考の隅で考えながらも、決してそれ以上のことはしない。己の欲だけで大切なものを奪うのは、海賊らしくはないかもしれないが、とても許せることではないからだ。現品は根こそぎ奪いはしても、形に出来ないものは。
─それにそういうものは、一方的に奪っても何の価値もない。こちらを振り向いて、恥ずかしそうに錦糸の隙間から紅い瞳をこちらに向けて、彼女自身がその前髪を払い除け、己にだけその宝石を見せるようになって初めて価値が生まれる。手櫛のふりをしてこちらから覗くのでは、一時的な欲しか満たされない。
それだけの価値を持った彼女の瞳が欲しいと、心の底から思う。…己ではない誰かのために隠した宝石の存在を夢想するだけで胸躍る。しかし彼女の瞳は、己だけに見せて欲しい。宝箱の中に納めたというのに、は未だその輝きを見せていないのだ。
欲しい。欲しい。欲しい。早くその宝石を私だけに魅せて欲しい。
「海賊らしくないな、やっぱり」
海賊なら、奪ってなんぼだと言うのに。
「…しかしこればかりは、自分で育てなくては」
唾液で濡れた小さな手に吸い付いて、男はひとつ息を吐き出した。
##
船長室でうとうとしていたら、突然ずしりと重みを感じる。唸って薄く目を開け確認するまでもなく、己にそんなことををするのは一人しかいない。犯人は何か喋るでもなくするでもなく、じっと腹の上に鎮座している。
「…?」
「バーティ」
薄暗い部屋の中、少女は拗ねたような表情でこちらを見下ろしていた。一度視線を逸らし、きゅっと唇を噛みしめる。何か言いたげではあるが、言葉に迷って─否、複雑な感情に戸惑っている。
「禁止しているからこの船の男たちは据え膳を食えないとはいえ、遅い時間に男の腹の上に乗るのは感心しないぞ?」
「…こんなこと、あなたにしか…、……。……っ」
そりゃあ、私以外にするようなことは許さないとも。バーソロミューは思いながら、の言葉を待った。
「…あなたは、…なんでしなかったの?」
「何のことかな?」
「前の…わたしが、少し寝込んだ…」
ぼそぼそと溢される声を拾い、何時の事を言っているのかは理解出来ても、それ以上が不透明で首を傾げる。
「……裸にするくらいなら、…すれば…」
「なんでって、あれは君の体調を慮った結果だからね。魔術がどうこうは未だよくわからないが、直接の接触が効率的だと言っていたのは君だろう?」
いつぞやにが連戦に疲れて寝込んだ時、主な原因が魔力不足と知り、それを補充する役目を担っているバーソロミューは、お互い全裸で抱き合って寝るという行為に出た。普段は手を握るだけだったのが、接触範囲が多く深ければより効率が良いという話は聞き及んでいたのだ。故にそうなった。船の規律と礼儀からして、それ以上の行為はアウトだからだ。無論乙女の素肌を勝手に覗くのもかなりアウトに近いが、緊急を要する治療行為に等しい。そしてその件に関しては、新しい衣服やおやつなどといったもので謝罪と補償をつけている。─寝ている彼女に、淫らな行為は、していない。…言えないようなことは、したかもしれないが。
簡単に説明すれば、はさらに困惑の色を見せた。そして何やら考え込んでいる。
「?何か不満だったのか?裸を見たことは、何度でも謝罪する」
「そんな…そうじゃ…なくて…だから、なんで…しなかったの」
「…?」
彼女の言い分は要領を得ない。
「魔力の供給は、唾液とか体液とか…要はその…するのが一番早いっていうのは、あなたも理解しているでしょ?」
「ああ」
「…で、それで…あなたは、したがっていた」
首を傾げる。
「…も、あなた、わからない。し…したかったんじゃないの?」
「君が私を求めるなら一晩でも二晩でも。だが君は嫌がっていただろう?」
今度はが首を傾げる。泣きそうなほど混乱している様子に、漸く合点がいった。
「…君はこの船に雇われている船員であって、奴隷ではない。同意もないのに力を持たない女性を襲うのは、船の規律でも禁止されているし、私の好むところではないよ」
言えば、少しの沈黙のあとは白い頬を真っ赤に染め上げた。…頬どころか、耳を通り越して全身が沸騰していそうなほど赤く熱を帯びている。
それはそうだろう。彼女は己を奴隷だと思い、それなのに性的な事を望まないバーソロミューに困惑していた。しかも全裸になって抱き合って寝るなどというスレスレなところまでやっておきながらとなれば、据え膳を食わない恥ずかしい男以前の問題─不能だとか、対象外だとか─ということになる。しかし普段からバーソロミューはを愛でているのだから、余計混乱するだろう。
しかし手を出さない理由が単純に、そういう関係の男女でないから、となれば─今までのこの会話は、どう捉えてもが欲求不満を訴えている図になる。それを理解したのだろう。ぷるぷる肩を震わせて、言葉を失っている。
「…。だからね、?私はずっと待っているんだよ?」
「は、ぇ…」
「何度も言っているだろう?私は君が望むなら、一晩でも二晩でも、今後一生だって応えるとも」
「わた…しは、そんなつもりじゃ…っ」
ぺろりと唇を舐める。はうつむいているため気付かないが、バーソロミューの瞳は今まさに捕食者のそれだった。宝を手に入れるため狙いを定める、獰猛な鯱のような─海賊らしい、瞳。
「じゃあどんなつもりだったのかな?自分を奴隷と勘違いしていたのだとしても、行為が嫌だったのなら己の純潔が見逃されたのは喜ぶところだろう?それをわざわざこうやって、『なぜ襲わなかったのか』などと問い正しに来た。人がいるところならまだしも、夜遅く、私の部屋に」
「ぇ、ぅ…」
「私は一度も、君に嘘は言ってきていない。それなりに思いの丈は伝えていたつもりだし、それこそ君に求められればいつでも応えるとまっすぐ言ったこともあるはずだ。そんな中で…さて、どういうつもりで来たんだ?」
酷く狼狽えている。ぐるぐる視線を回して、青くなったり赤くなったり忙しない。体を起こせば、後ろに倒れてしまうを抱き締めて、耳元で囁きかける。
「一度試してみるのもありだ。もちろん、がいいというなら、だが」
「……ぁ、ぅぅ…」
抱き締める腕に少し力を込める。まかり間違っても逃げられないように。
「どうする?」
は視力が良くない。ならばこそ、攻める場所は耳だ。興奮を抑えるような吐息を、熱を隠しきれないでいるような語尾を、よく聞かせる。
すると小さな手がおずおずと、バーソロミューの背に回された。弱々しくたどたどしく服を摘まみ、男の胸に顔を埋め、制止した。
「(…捕まえた、)」
にぃい、と口角がつり上がる。
§
両手で口を抑えながら、耳から伝わる音と感覚に耐えようと強く目を瞑った。唇でやわやわと揉まれ、熱い舌が形をなぞる。興奮冷めやらぬねっとりとした吐息が耳孔を這い上がり、脳髄を痺れさせて。その傍らで、海賊の男にしては随分細長い指先が、皮膚の上を滑っていく。手袋の感触がごわごわして、どうしても背筋がひきつった。
粘着質な音が頭に響く。時折名前が囁かれ、その度に肩が揺れる。魔術師にとって─きっとそうでなくとも、名前というのは重要なものだ。じんわりと染みるような低い声で、吐息が紡がれる度に頭がぼやける。
「…も、やぁ、」
「ん?フフ、そうかそうか」
ちゅ、とリップ音をさせて、耳元を離れ頬が擦り寄せられる。男の膝の上でゆるく抱き締められ、息を落ち着けるように彼の胸に体を預けた。
抱き締められたまま、ゆっくりと簡素なベッドに横たえられる。布切れの音がして、その後素手が首筋に触れたことから、手袋を外したのだと分かった。襟ぐりから大きな手が入り込み、その指が火傷の残る肩肌を撫でると、痛みはないものの独特の感覚があって身を捩る。バーソロミューが背を屈めちゅうちゅうと肌を吸い、舌を這わせる。比べて随分落ち着いた動作にどうにか呼吸を整えた。
素肌に、布越しに、そぐわない優しい手が体を撫でる。触れた場所から熱が伝わり、緊張で下がった体温があたたまる。…未だに、困惑が抜けきらない。
「…ふく…」
「なにか?」
「服、脱がなくて、いいの?」
「…ああ、うん。そのままでいい。大丈夫、着替えはちゃんとあるからね」
「…ん」
「恋人同士の睦みごとなんだから、全て私に任せてくれ」
また目を丸くする。そんな様子にバーソロミューは目を細めて微笑み、慈しむように口付けを落とすと、丁寧にの服の襟もとをくつろげた。
「ん…!?」
未発達の乳房を手で覆い、すくうように寄せて親指で柔らかい登頂部を擦る。左側だけ、執拗なほど押し潰せば、両手で抑えた口から吐息が溢れた。反応を逐一観察しながら、もう片方に舌を寄せる。まだその役目を成せないだろう小さな芽は次第に固さを帯びていき、の呼吸も乱れて行った。「声を抑えるのはいいが、息はしなさい」小さく呟いて、いやがるように身をよじるのをそのままに、白い肌に舌を滑らせ、丹念に舐め始めた。時折神経の集まる乳首に歯をたてれば、少女は何が起きたのかわからないという顔をして背筋を伸ばす。過度な耳への愛撫で、十分に快感を感じる方向へ転換出来ているはずだ。故に、痛みも多少は快感に勘違いする。懇切丁寧に育てていかねば、とに向ける優しい表情の裏でほくそ笑んだ。
「…ん、ん…ぅ」
舌での刺激を続けながら、空いている手で真っ白いなだらかな腹を撫でた。少し骨の浮いた痩せ気味の体は、少女の幼さを際立たせる。筋肉もほとんどついておらず、力を込めれば平気で潰れてしまいそうなほど柔らかな腹を、手のひらで堪能するようにまんべんなく触れる。背中に手を回し軽く持ち上げ、身を屈める己に近付けて口付けを落とせば、きゅうとお腹がへこんだ。女性は総じて腹の出を気にするが、の場合もっと肉をつけるべきだ。背筋に指を走らせれば、くすぐったさからかすぐに力が抜けた。
「……、」
胸元が苦しくなってボタンを外す。もう一度身を屈めて、今まで避けていた少女の小さな唇に顔を寄せた。抑える手を外し、まずはふわりと唇を合わせる。角度を変えて何度もそうした後、顎を引かせて空いた隙間から舌を侵入させる。己よりも小さい口腔と舌は、追うまでもなくすぐに捉えられ、お互いの唾液が垂れるのも厭わず無心に貪った。甘い酒のようでどこか背徳的な、逃げる方法も知らないものを執拗に絡めとる。
─と。成されるがままだったそれが、突如として牙を向く。くちのなかを蹂躙していた舌を、小さな歯が食い込んだ。…が、あまりにも弱々しく、痛みを感じるほどですらない。しかしなにか訴えたいことでもあるのだろうと仕方なく体を離せば、混ざった唾液が糸となって繋がれ、飲み込むようにもう一度口付けた。
「ん、ん…っは、ま、って」
「苦しかったかな?」
「ん…ぅ、ん」
目尻に涙を貯めながら、こくりとうなずく。視線をさ迷わせ、肩で大きく息をしている。
「…だからといって、。こういうときに歯を立てるのはいけないね」
「…ごめ…ん、なさい」
「勿論いいとも。順番に教えてあげるからね、これから出来るようになってくれればいい。色々とね」
そう、色々と。きっとそんな言葉を行為のあとも覚えていられるほどちゃんと聞いてはいられないだろうが、ここで頷いたという事実さえあれば問題ない。この船では一方的な乱暴は罰せられるが、本人が望んでいるならば問題はない。具体的にいうと店の女とか、恋人とか。今まで丁寧に丁寧にを愛でていたことは他の船員もすべからく知るところなので、無用な想像をする者はいないだろう。それが普段から得ている信用というものだ。
「…どうしても苦しい時は、そうだな。言うのは当然だが、キスの時はこうして首に腕を回して…、叩いたり爪をたてたりするといい」
「爪を…たてるのは、いいの?」
「背中ならね」
そういうものかと納得するの頭を撫で、再びキスを繰り返す。度々背中を叩かれるので、キスの際の呼吸の仕方を教えながら。
慣れてきた頃に腰から手を滑らせ、下着の中に入り込ませる。自分が買い与えた上質な作りのそれは、大切な場所をしっかりと守っている。しっとりと湿っているそれを確認して口角を歪ませながら蜜源に触れる。塗り広げるように撫で、固く閉じたくちを指でなぞった。
「っ、ふ、ぅ、う…っ」
「…怖い?」
「…ん、ん」
頷いた後、首を振る。
「だい、じょうぶ」
「それはよかった」
再びキスをしながら、少しずつ少しずつ、蜜壺へと指を差し込んでいく。すぐ脇の蕾もしっかりと刺激し、とにかく快感を覚えさせるために愛撫も止めない。
「、つらくはないかな」
「ん、ん」
「気持ちいいときは気持ちいいと言うんだ。ちゃんと」
「ふわふわ、する…っ」
どうやら本当に処女らしい。普段の恥じらう様子から、奴隷でありながらそうではないかと考えてはいたが。
「おなか、ぽかぽかして、すき」
「……そうかそうか」
いつもの落ち着いた雰囲気とはまた違う、幼稚な表現と表情と声。何よりずっと口を抑えていた手で暑そうに前髪を払うものだから、あのスタールビーが潤んでこちらを見下げているのがよく見えた。あくまでも一貫して紳士的に扱うつもりでいたのに、ついつい仮面が粉々に砕け散りそうになってしまう。昂りを笑顔で抑え込みながら、額を擦り合わせた。
あつい柔肉の狭間に指を入れる。濡れてはいたがあまり頼りあるものではなく、ベッド横に隠してあった蜂蜜酒を振りかけた。冷たかったのか体を揺らすが、すぐに体温となり皮膚を伝った。
ぴくぴくと内股が痙攣している。指を抜いての体を起こすと、己に背をもたれかけるようにして抱き込んだ。腹に手を回し大きく動かないように拘束しつつ、唇は耳を舐め回し、右手は開かせた足の間を刺激していく。
「ん、ん…」
「声を出せ、と言えないのが申し訳ないな。でも、唇は噛まないように」
「ぅ…ん」
の濡れた声を船員に聞かせるのは嫌だし、結果として禁欲を強いている部分がある手前申し訳なさがある。これ以上身を屈めるのは少し体が痛いが、己のことよりもだ。の顎を上げさせて、深く深く舌を絡ませた。そうするうちにみるみる蕩けていく紅い瞳が、抑えようとする理性を揺るがしていく。何せこれまで長いことこの時を待っていたのだ。己で律したルールの中、欲しくてたまらない宝石を手にするのを。宝石がこちらに煌めきを放つのを。
「(しかし、これは…)」
アルビノ由来なのかただの遺伝か栄養不足か、とにかくは体が小さい。同じ年頃の娘と比べても小柄な方だ。…己と比べると、とても、かなり、だ。それほどに若い少女に手を出しているのは自分なので文句はないが、それはそれで問題が出てくる。
一度も曝されたことのなかった秘部はもうしばらくの間ほぐしているが、それでも指が数本入って限界だ。つまりそこに自分の熱を挿入すれば、下手をすれば裂ける。勿論上手くやるつもりだし根気よく待てる自信もあるが、…一夜でこなすには少し、時間が足りない。
「ん、ぅ…バー…っ、ぅあ、ぁ…!」
激しくはしていなかったが、溜まった熱が限界を迎えたのか、はバーソロミューにしがみついて、小さく体を震わせた。手を止めて、濡れていない方の手で頭を撫でる。断絶していた呼吸が再開し整ってきたころ、ちゅっちゅとキスを降らせた。
「…バーソロミュー」
「…ん、?」
「まだ…おちんちん、いれないの?」
変な声が出そうになるのをどうにか堪えて、首を傾げて返した。
「……ここ、あなたが…さわってたとこ、に…」
「………、……は初めてだろう?こんなにも狭いところに無理やり入れたら壊れてしまう」
「…そっか」
ごめんなさい、と消え入るように口にする。謝ることではないのだが。
「…ど、どうしたら…いい?」
「え。…今日は挿入はせずに、少しずつ慣らしていくんだ。がそれでいいなら、だが」
言えば、はまた目を丸くした。それもそうだろう、初めは『お試し』、さらにそれでも純潔を守れるのに、ここで頷けば『次』を約束したも同然だ。回数を重ねる可能性はあれど、それは必ず処女をバーソロミューに捧げるという意思になる。当然、ここまで来て途中で逃がすことはない。
「…ん。わかった」
「…いいのかい、本当に?」
「……ん。今でも十分、きもちい…から、我慢する」
「ンッ…?」
我慢とは。
×
翌日の深夜。ちゃっかりと船長室のベッドで一日休んでいた私は、ベッドに腰かけたバーソロミューに手を伸ばした。どこか困惑したような、驚きを隠した様子で、私を抱き上げて口付ける。男性だからなのか筋肉質だからなのかわからないが、彼の舌はとても熱くて、こちらへ渡される唾液を飲み込む度に体がじんじんと温かくなって気持ちがいい。
これが魔力だと理解したのは、もっと前だ。少し前に、眠るバーソロミューの額を舐めたことがある。…伝っていた、汗を。あまくて、あつくて、おいしかった。この男の魔力は、とてもとても、美味しい。だから私は─とてもはしたないことだと理解っているけれど、こいつの魔力をもっと欲しいと、思ったのだ。手を絡ませて得られるわずかな量ではなく、もっと、こう─体液を。
バーソロミューの私を見る目は、一般的な少年少女に向けるものではない。優しい声色や仕草の下に、どこか狡猾で絶え間なく隙を狙うような獣の眼光が見え隠れしている。けれどこいつは奴隷だとかを毛嫌いしていて、船に乗る者に従わせているルールには、女子供を乱暴するために乗せるな、などというものがある。そんなルールを敷くわりに、私に突き刺す視線はどこか恐ろしいものがあった。
…けれど。彼の魔力はとてもあまくて、あまくて。そして"乱暴"することがないのなら、処女なんてあまり重要性がよくわからないものくらい、平気で売れた。…売ろうと思った。…思ったのだ。あくまでも、私が彼の魔力を摂取するための手段、その代償として。
ところが、バーソロミューは全く手を出してこなかった。疲れて寝込んだ私とお互い全裸で抱いて寝るとかいう行為にまで及んでおいて、だ。私が隙を見せればすぐに食らいついてくる獰猛な獣だと思っていたのに。だから考えなしに問いただしに行ったら─その時こそ、私は食らいつかれた、のだ。
男は私が思うよりも狡猾で、己を優位に立たせて。私が彼の魔力を頂戴するだけ─というような関係性には、させてもらえなかった。何を欲しがるにも、私が彼という海賊の宝として所有されることが第一。そうすれば、彼は己の全てを私に渡す。決して逆ではない。そんな関係性になってもきっと、彼は私を尊重するだろう。船員としても、女としても。
「考え事は良くないな。今は、私だけを感じるんだ」
「ぅあ、」
思考が途切れる。大きく脚を開かされ、熱を受け入れる場所の上を、男の屹立したモノが前後していた。脱がされずはだけさせられた衣服の中には、バーソロミューの手が形を確かめるように這いずり回っている。想像していたものよりも、触れて感じられるだけでもソレは大きくて、どくどくと脈打っていた。先端のまるいところが私の陰核を強く擦る度にびりびりと雷が走って、幹で押し潰される度に訳のわからない感覚が呼吸を止めさせる。この男をいいようにするとかなんとか、考える間もない。いいようにさせられている。背筋がひきつる時は必ず胸の先端を摘ままれ、どこで快感を得ているのかもよくわからなくなっていた。何度気をやったかわからない。体を駆け巡る快感と、魔力の熱が、ひたすら私の体を侵している。
「…ん。もうそろそろナカも育てて行こうかな」
「ふぇ、あ、え、ぁっ──」
「どうした?」
にゅる、と、熱の塊が、私の肉に食い込んだ。
「私もさすがにここまで魅せられて出せないのはキツくてね」
色っぽい吐息が耳元で聞こえた。その吐息をまるごと私の耳に押し込むかのように唇が触れ、鼓膜に水音が浸透する。それだけでもう頭がぼやけてしまい、掴んでいたバーソロミューの服を強く握り締めた。
§
「ほら、もう半分は入ったよ、。時間をかけた甲斐があった。それでも少し血が出てしまったけど、痛くはないかい?しばらく待とう」
「ァ…ぁ、わか、な…っくるし、くるしい、」
「んーまぁ多少はね。我慢してほしい。堪える表情も素敵だ、とても可愛いよ。さすが私のスタールビー、苦痛と快感が混ざった複雑な表情もとてもとても愛らしくて、君のためにも堪えなくちゃいけないのにもっと大きくしてしまいそうだ。苦しいね、そうだね、でもこれから数を重ねてもっと気持ちよくなるから安心するといい。勿論丁寧に教えてあげるからね。これからこの快感を与えるのは私でなければ許さないが、多少は己で慰める手法も覚えてもらいたいからそのつもりでいてくれ。…ああ、そろそろ落ち着いたかな?」
聞いているのかいないのかはわからないが、呼吸が落ち着いてきたのを見て腰を押し進めた。ぎちぎちと胸の痛い音がするが、痛い中で確実に快感を拾っているのがわかる瞳がとても興奮する。ぐるぐると混乱しながらも、その視線は結合部に向いているのだ。赤黒い陰茎が僅かな血を垂らした白い体に埋め込まれていくのは、とても蠱惑的で背徳的だ。
少し抜いて、また深く突き入れる。ゆっくりと、丁寧に繰り返していれば、次第にの声も蕩けて来て、強張った体も弛緩していた。噛み耐えている唇を奪って、手袋を外した手で全身に触れる。柔らかく、汗でしっとりとしていて、幼いならではの吸い付く肌に、口角がニヤつくのを抑えられない。頬を真っ赤にしながらはふはふと肩で大きく呼吸しているのも、快感か胎の苦しさからか潤んだ瞳も、極上の馳走だ。待ち続けた甲斐があった。本当に。
「ああ、可愛い、可愛いね。そのちいさいくちにも私の"おちんちん"を突っ込んで掻き乱したいが、今は勿論我慢するとも。一度くらいは嫌がる君に無理矢理してみたいものだが、やはり恥じらいながらも自分から赤い舌を出して舐めるというのが腰にクるというものだ。そう、私のまたぐらということは上目遣いになるということで、その状態でこちらを見るには前髪は邪魔になるだろう?だからちょっと払いのけて、そうして見えるスタールビーがとても良くて、ああ考えるだけで今にも出そうなんだが、聞こえてないかな?そろそろ動いていいかい?」
「…っ、ぅ…、」
「うんまぁ聞こえてないなら答えられないね。もう、少し…、で、根元まで入るから、頑張ってくれ。壊してしまうのは私としても不本意だからね…、はぁ、、全部入った。今はまだ苦しいし痛いだろうが、すぐに中も奥も気持ちよくなるように教えて行くからね。大丈夫、私は君をよく観察しているから、反応を口にしなくともすぐわかる。自分でわかっているかはわからないが、はとても表情が豊かだ」
体を揺らす。振動の度に信じられないとでもいうような表情で涙を溢しているが、構わず続けた。揺れを大きくする形で陰茎も前後に動かしていけば、ぴったりと私の形に沿っていただけのものが擦れ、蜜が散り二人の内股を濡らす。破瓜の血はもう大分薄れ、次第に激しくなる動きに膣口は泡を含んだ。
「…っは、ァ、ぅあ、ぁんんっ、」
「声も愛らしい!普段落ち着いた声しか出さないがそんなにも淫靡で艶やかな音を出すという、それを聞くのが私の耳だけというのがとてもいい!っはァ、…ここを、擦る度に、君の声色が変わるね?もっともっと教えてくれ、ァあ、お互いに溶けあって、海の底に沈んで行くような感覚だ、」
腰の動きが激しさを増し、いやいやと首を振るの唇に吸い付いた。投げ出された細い人魚の脚が、意思を持って私の腰に絡み付く。シーツを掴んでいた手も必死に私にしがみつこうと伸ばされ。キスの度に口の端からどちらともわからない唾液がこぼれ、汗が滴る。衣服は着用してこそだが、この頃になると暑いので考えどころだ。
ぐいと奥まで根を叩き付けて、片手での腰を引き寄せ腹同士を擦り合わせた。歪な肉塊が薄い腹を隔てて己の腹にぶつかる。見てわかるほどにの胎を押し上げていたのは、思い出しても興奮が高まる。
「っひ…、ぁ、んんんんっ、んー…ッ!」
「ぐ、ぅ…っ、…、」
「んっ…ぷぁ、んん、ん、」
散々溜めてきた白濁を吐き出せば、しばらくの余韻のあと力を抜いた。の方は未だ身体中が小さく痙攣しており、私の腰を挟む脚は絡まったままだ。恍惚とした表情でぼんやりと私を見上げるようになると、眠るように意識を失った。
「…はぁ、可愛い…可愛い…とてもいい…このまま寝起きすぐの日の出の瞳を待ちたいが、やることはやらねば…セックスに面倒なところがあると印象を持たれてはそのせいで避けられかねない…」
余韻をもっと味わいたい気持ちを堪えて、後処理に体を起こす。
…それにしても。
「魔術に関しては門外漢だが、私を利用するつもりがあったとは。しかしまだまだだ、その愛らしさ以外で私を落としたいならもっと考えないとな。ふふ、そんなおちゃめなところもまたいい」
頬を撫で、キスを落とし。汗やらなんやらに汚れた衣服を脱ぎ、脱がし。フィットするように抱き込むと、ようやく眠りについた。
◁(Back)
⍙(Top)
▷(Next)
Copyright© 20xx your name All rights reserved. ☘
designed by flower&clover